読書レビュー「東京島 / 桐野 夏生」

 

夫とのクルーズ中に暴風雨に襲われ孤島に流れ着いた清子のサバイバル物語。最初は二人だけの日々だったが他の日本人や中国人までもその孤島に流れ着いてくる。そうして島民は31人になるも、そのうち女は清子一人。奪われるもの、求められるもの、与えるもの、奪い返すもの、、清子という女の生きざまは必見!

 

目次

感想

桐野 夏生という方の本は初めて読みました。

レビューを読んでいるとこの作品に関して一般の評価はなかなか厳しいようですが、私個人としてはとても好みだったし面白かったです。

 

一応主人公は日本人の「清子」という46歳の女性だけど、私はこの島に生息する全ての人たちが主人公だと思った。

それぞれがそれぞれの知恵を持ち、希望を持ち、絶望の仕方もそれぞれ。

生きようとする力というのはなんと強いものかということを、ひしひしと感じられる作品だと思います。

 

今の贅沢三昧の世の中じゃ全くピンと来ないかもしれないけど、明日、突然孤島に一人で放り出されたら私は生きていけるだろうか・・・。

清子のように、こんなに逞しく生きていけるだろうか?と考えてしまった。

 

友人もこの本を読んでいて、彼女は「下品すぎて見る気が失せた、リアリティを感じない・・・」という意見だったんだけど、私は逆に「無人島なのに品をもっていられる人間の方がリアリティを感じないんだけど」と思った。

 

宗教染みたことを始めたり、自己を開放して狂人として生きたり、ヤられちゃっても全く動じない清子とか、確かに現在で考えればリアリティはないだろう。

だけど、ここは無人島。

なにもない。

これまでの生活と同じことはほとんどできない。

そう考えたら、あるものに縋ったり残酷に攻撃したりするのも「ニンゲン」として全く自然な行為だと私には思えます。

 

頭を使って、体を使って、使えるものは何でも使って生き延びることだけに執着する東京島の人間たち。

清子に関しては、こんなにパワフルで美しい女性を描いた小説を私は知らない。

 

東京島の映画

気にはなってるけど、まだ見られていない映画版。
レビューを読んでいる限りなんとも見る気がしないというか・・・なんかひどいらしいです(笑)
原作もかなり厳しいご意見が多かったので、やっぱり一般受けはしない作品なんだろうなとは思うんですが・・・。
逆にこれだけ低評価だとぜひ見てみたいとさえ思ってしまいますけどね!
木村多江さんはすごく好きな女優さんなんですが、確かに「清子役」としてはなんか違う気がしてしまいますがどうなんでしょう??

 

この本の評価は?

ストーリー [5.0]
感情移入 [4.0]
感動 [2.0]
ラストの展開 [4.0]
総合 [4.5]

 

ココに惹き込まれた!

登場人物一人一人の狂い方、逞しさ、弱さが見どころ。
自分だったらどのタイプになるだろうかと想像するも、こんな極限状態の自分がどうなるかなんて全く分からない。
ラストも個人的には好き。こういう終わり方は好きです。想像が想像を呼ぶ感じ。

 

ココが気になる!

世界観がぶっとびすぎてて、なかなか感情移入は出来ないだろうと思う。この作品を楽しむにはかなりの想像力が必要なのではないかしら。。

 

 

次回読んでみたい桐野夏生さんの作品

桐野夏生さんのファンになりました。それくらい私には面白かったです。映画になったのも納得です。


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