人から良く見られたい感情が行き過ぎるとどうなるのか?その先にある家族の形とは。「凍花」

 

「人から良く見られたい」

その気持ちの大きさはそれぞれ違えども、大抵の人が持っている感情じゃないでしょうか。しかし、それも行き過ぎると自分ではコントロールできないような感情の波に溺れてしまうこともある。。

どんなに仲のいい家族や姉妹と言えど、人の心の中はわからないものですもんね・・・。

先日、斉木 香津さんの凍花 (双葉文庫)を読み終わったのでレビューです。

 

美しくしっかり者の長女「百合」、明るく我儘だけどどこか憎めない二女「梨花」、そんな姉たちが大好きで頼りっぱなしの三女「柚香」の物語。柚香にとっては自慢の姉たちで「最強の三姉妹」と思っていたはずなのに、ある日突然長女が次女を殺害した。三女はその動機を探っていくうちに長女の日記を見つけるが、そこに書かれてあったのは信じがたい事実だった。

 

目次

感想

読み始めは「どういう展開になるんだろう?」ってワクワク。

しかし中盤になってくると三女の言動にうんざりし始め、終盤はなんとなく予想できてしまって淡々と終わっていったという感じ。とにかく、三女にイライラした!という感想が一番にきてしまった小説でした。

そう思わせるようにわざとそういうキャラ設定なんだろうけど、ちょっと突出しすぎててそっちばかりに気がいってしまった。

 

姉の日記を見てしまうのは仕方ないにしても、それを彼氏や他人にまで見せるか?自分が長女の立場なら一生許せないかも・・・。だって日記だよ?自分の本当の部分を吐き出している超プライベートなものだよ?!

家族に読まれてしまったのならまだ許せるにしても、どんな理由があれ、それを持ち出して他人に見せるとか・・・ないわぁ・・・。

そして、姉を信じ切ってた三女は「長女の真実が知りたい」と言って始めたあれやこれやだったのに、いざ真実を見せられたら「信じない」っていう。。

 

三女に関してはそんな感じでイラつく場面が多かったんですけど、メインは長女の百合のこと。

きっと、誰もが多少はこんな部分があるんじゃないかなと思う。人に良く見られたくて、他人からの評価を気にしてしまって本当の自分を出すことが出来ない。好かれようとすればするほど空回りして嫌われてしまう。

すごく純粋で、汚い世の中では生きにくいタイプ。そんな娘を守ろうとする母親と無関心な父。

外から見れば、この母親の「守り方」もちょっとズレてる感があるけれど、「家族」ってそういうもんだよね。他人には理解できないし、その家族にはその家族にしかわからないルールというか、家族の在り方みたいなのが定着してる。

 

三女には嫌悪感しかなく、百合にもそこまで感情移入はできない、その両親にも「なんだかなぁ」という感じがする。

だけど、面白かった。ノンストップで読みました。なんでしょうね、これは・・・(笑)

 

個人的に「感情移入できない」小説は低評価になりがちなんですが、この凍花に関しては例外です。

どんでん返しなどもなく本当に淡々と進んでいくんですが、三女への「そんなことする!?」なんて思いや、百合への「なんでそんなことになっちゃうのよ!?」などの「負の感情」が波のように次から次へと押し寄せて、あっという間に読み終えたという感じですね。

 

この本の評価は?

ストーリー 3.5
感情移入 4.0
感動 2.0
ラストの展開 2.0
総合 [3.5]

 

ココに惹き込まれた!

自分の感情がすごく動かされる。イライラしたり共感したりもどかしくなったり。そこが「結果、おもしろかった」というところに繋がるんだと思う。

 

ココが気になる!

やっぱり三女の言動かな。あまりにも嫌悪感が半端ないです(笑)でもきっとそう思わせるのも、作者の”してやったり”の部分なんだと思うので、そこも含めて楽しんでほしい!

 

次回読んでみたい斉木 香津の作品

筆致も読みやすくてサクサク読み進められました。

他の作品をみても気になるタイトルばかりなので、ぜひ読んでみたいです!「踏んでもいい女」ってなに!?


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