読書レビュー「彼女は存在しない / 浦賀 和宏」

香奈子という女性の恋人が殺されたところから様々な事件に発展していく「解離性同一性障害」をテーマにした物語。
香奈子とは別の場所で、妹の異常行動を疑い始める大学生のストーリーも同時進行する。
一つ一つの出来事が香奈子と大学生を結び付けていき、少しずつ謎が解明されていく。

 

目次

感想

最初に言ってしまうと、4/5くらいまで「読んでるのつらい・・・」と思っていました。

なんだろう、、すごく読みづらかった。

この作者さんの小説は初めて読んだんですが、「この人のはもう二度と買わないだろうな」と思うほど。

 

なにがそんなにひどかったのかというと、登場人物に全く感情移入できない。いまいちキャラクターの設定が薄い。

あと、古い小説なので時代背景というかそういうものも色濃く出てるんですが、音楽のこと持ち出しすぎな気がしました。

伏線のためとはいえ、ここまで放り込んでくる必要あるのかな?と。

 

そして、キャラクターの口調もなんだかおかしい。

「そのキャラでどうして急にそんな話し方になるんだ??」とか、

「え・・・そこでそういうこと言うの??意味不明なんだけど・・・」とか、、

「・・・・だよ」「・・・だよ」「・・・だよ」って、同じような言い回しが続いたりとか。

 

物語云々の前に、そういう言葉の使い方がなんだかおかしくて、そっちがすごく気になっちゃって全くストーリーが頭に入ってこなかった。

よくある「多重人格ストーリー」と思って読んでたんですけど、ラストに向かうにつれ少しずつ「どういうこと??」って思うところが増えていき、上にあげた「???」な部分が全て繋がり、結果、まんまと騙されていた自分に気づきました。

 

最後の方は、それなりに集中して読むことができたし、騙された感も心地よかった。

だけど、引き込まれたのがラストだけっていうのがなんだかなぁとも思う。

こんな私が言うのもなんですが、読み手としてはもう少し登場人物の描写を深く描いてほしかったかなと。

内容が内容なだけに、不安定なキャラ設定は仕方ないと思うけど、それにしてもなんだかちょっと・・・って感じでした。

 

グロ系が苦手な方は間違いなく読まないほうがいいです!

ラストはかなりグロテスクで、倫理に反する内容の部分もあります。
個人的には、本来サイコなものは好きなのでそこについては特に何も思わなかったんですが、描写がかなりグロいです。

しかし、この描写があったことでこの小説の全体像がグッとしまったと思うし、逆にこれがなかったら多重人格のよくある話で終わってたと思う。
「多重人格=精神異常」ってくくりは、誰が見てもボヤっとしてるものだし。
「そこまでした」ことが、逆にリアルなんじゃないと思った。

 

同じ多重人格の小説なら、まだ大石 圭さんの殺人鬼を飼う女 (角川ホラー文庫)の方が読みやすいと思います。

まぁ、、こちらはこちらでワインの話が邪魔だったりするんですが・・・(笑)

ラストの殺人現場に関して
他の方の評価を読んでいると、私と同じ感覚でマイナス評価の方も多くいらっしゃるみたいですね。

この本の評価は?

ストーリー [3.0]
感情移入 [1.0]
感動 [1.0]
ラストの展開 [4.0]
総合 [3.0]

 

ココに惹き込まれた!

なかなか練られた物語の構成で、よくある多重人格モノと思って読んでるといい意味で裏切られる。
ミステリーサスペンス+グロ+カニバリズムと鬱々とするものがてんこ盛りの本作ですが、ラストのどんでん返し、衝撃は笑ってしまうくらい気持ちのいいものでした。
そういったものが好きな方にはたまらないと思う。

 

ココが気になる!

作品のテーマが「多重人格」なので仕方ないかもしれないけど、キャラクターに深みがない。
読んでいて常に気持ち悪さが付き纏った。色々と盛り込みすぎな気もした。
登場人物の視点もコロコロ変わるので、慎重に読み進めないと頭がこんがらがってくる。
個人的には低評価、苦手かな。でも「多重人格ものだから」という理由なら、他の作品を読んでみたいとは思う。

 

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