「どうして子供作らないの?」
突然ですが、この質問。
正直、質問主が同じ子なし夫婦の人じゃなければ「あなたに関係ないよね?」と一言で終わらせたい類のものです。
たぶん、お子なしの皆様方は一度くらいはこの質問で「イラッ」としたり、悲しい思いをしたりしているんじゃないでしょうか・・・。
そんな風潮に物申したい今日この頃。
子なし主婦の皆さんは、この無神経な質問にどう答えているのか気になったり。。。
私たちが子なし夫婦の道を選んだ理由
さて、なぜ急にこんなディープな話題を書いてるかと言うと、先日ですね、犬の散歩中に初めて会ったおばさんから「どうして子供作らないの?!」って言われました。
そして「信じられない!!( ゚Д゚)」って顔で、訳の分からない持論を長々と喋られた挙句、説教までされたというそれこそ「信じられない」出来事に遭遇してしまったからです。
「どうして子供作らないの?」の質問の答えですが、きっとそれは夫婦一組一組に違う理由があると思います。
例えば「子供を作れる体じゃない」とヒトコトで言ったって・・・
- 突然の闘病でなのか
- 元からあった疾患でなのか
- はたまた精神的なものなのか
- 本当は夫に原因があるのか
などなど、いくつも原因は分かれると思うんですね。
最後の「本当は夫に原因がある」っていうのは、意外と多いと思います。
男性の方がプライドが高いので、例えば安易に「旦那が無精子だから子供は諦めた」なんて周りに言っちゃって、それが旦那の耳に入った日には離婚に発展なんてこともあり得る。
だから奥さんが気を使って、周りや姑さんたちにも「自分が原因なんです」って言ってる人もいる。
私は不妊治療で産婦人科に通ってる時に、そういう事情の人に2人ほど会いました。
「不妊治療」とか「子供がいない」って言葉にすると一言で済んでしまうけど、本人さんたちのその中身たるや、とんでもない感情がとんでもない勢いで渦巻いていると思う。
少なくとも私はそうだった。
不妊治療中は、子供の姿を見るだけで涙が滲んできてしまうほどのダメージを受けてました。
葛藤、外野からの無責任な言葉、悔し涙や焦り、怒り、、
そんなぐちゃぐちゃした気持ちを粘土のようにこねくり回し、時には投げ飛ばし、、、
私の場合はそんなことを繰り返して、ようやく今の自分が納得できる形が見えてきたかな?というところです。
私たちが子なし道を歩いている理由ですが、本当に色々な物事が複雑に絡まっているので一つずつ書き出してみます。
不妊治療なんてもうこりごり
芸能界でも「妊活」とか「不妊治療の末に妊娠」という目出度いお話をよく耳にするようになりました。
そういうのを見るたびに思います。
「奥さんすごいなぁ…」って。。
私は17歳で一度目の結婚をしているんですが、その時に不妊治療を行っていた経験があります。
私自身の卵子が弱いのと、当時の夫も精子が少なかった、という理由で。
お医者さんからは「相手が変わればできるんだろうけどね~」なんてことを言われたりしてね・・・
毎日基礎体温つけてね、排卵日の確認してね、今日!っていう日に「さぁ今日ですよ!ヤリましょう!」ってね(笑)
もう色気もクソもありゃしませんよ。
とりあえず妊娠することが最優先ですから。
痛いんですよねぇ…お尻への筋肉注射・・・めっちゃ痛い・・・
今思い出してもよく頑張ってたな自分・・・って思います。
旦那の精子採取してね、病院に持っていってね、子宮に入れてもらうっていうね・・・。
これもまた痛かった記憶があります。
お腹痛くてフッラフラになりながら診察室から出てきたのを覚えてますね。。
想像妊娠するほど追い詰められた日々
毎月毎月、妊娠検査薬を見ては落ち込み、「なんで!」「こんなに頑張ってるのにどうしてできないの!!」って泣いてましたね。
ああ、、思い出しただけで辛くなってきます。。
ついには軽く想像妊娠までする始末(笑)
来ないんですよ!生理が!予定日を2週間過ぎても来ない!

そう思って、検査薬で調べたら「陰性」・・・
え?うそ?なんで?生理来てないのに!?って思った1時間後に生理きました・・・
もうね、精神的にダメなんですよ。
それしか頭になくてね、もう24時間ずっと頭の片隅には「妊娠」の二文字がせわしなく踊ってる感じ。
そしてそんなことを繰り返してると、最初は協力的だった夫も一年経つ頃には諦めムードになっていき。。。
「子供を作る」ことへの気力、その二人の温度差が喧嘩に発展し離婚になってしまいました。
そんなことがあったので、現在のオット君と結婚する時も「不妊治療をする」という選択肢はありませんでしたし、結婚する前からそのことも伝えていました。
もちろん自然妊娠ができたなら、こんな素晴らしいことはないけどね。
今では、もうそんなことは考えることすらなくなりましたね。
乳がん再発の不安
二つ目の理由がこれ。
オット君と付き合いだして暫くした頃に乳がんが見つかりました。
リンパへの転移もしていた為、抗がん剤治療にホルモン治療も行いました。
抗がん剤のせいで丸ハゲになった頭で、5年生存率という言葉に怯える日々。
しかし、辛い抗がん剤治療を終えた後に医師から告げられた言葉は「癌、全部消えちゃったね!」でした。
抗がん剤がとても効いたらしい私はこうして乳がん治療を終えるわけですが、医師は「子供欲しいなら早めにしたほうがいいよ」というわけです。
世の中には、癌になっても子供を産む選択をした女性が沢山いると思います。
でも、私にはどうしてもそこに踏み込めなかった。
- 抗がん剤をたっぷり注いだ体の中で育つ子供?それは健康で生まれてくるの?
- 私はホルモン陽性。妊娠で再発のリスクは上がるんじゃないの?
- 再発のリスクが少しでも上がるなら、俺は子供なんていらない(オット君)
抗がん剤治療を受けた後でも、子供に影響が出ることは少ないらしいですが・・・
そんなの単純な統計の問題で実際にはわからない。
もしも、もしも、運よく妊娠できたとしても、大きな疾患をもって生まれてきたとしたら・・・?
私はきっと自分のことを許せないでしょう。
だって子供が欲しいと思うのは私と夫の勝手なんだから。
自分の体がこんな状態なのに、安易に”大丈夫”と思って自分の欲求を満たした結果が、すべて子供に重くのしかかってしまう。
だけど、その子は私たちがいなくなった後も生きていかなければいけない。
私のせいで、重い疾患を背負い続けて・・・?
考えすぎだよって言う人もいるかもしれないけど、私はやっぱり怖かった。今でも怖い。
それでもね、もし夫が「子供が欲しい」と強く願ったならば妊娠する努力はしたかもしれません。
でも、オット君はそうは言わなかったんですね。

子供がいても、かとのんがいないなら意味がない。
「子供出来ました」「かとのん乳がん再発して命にかかわる事態に」なんて考えたくもない。
俺は子供が欲しくてかとのんと結婚したわけじゃないからな。
かとのんと一緒に生きていきたいと思ったから結婚したんだから。
言うまでもなく、オット君には感謝の気持ちしかありません。。
元からそんなに子供が好きじゃなかった
これを言ったら身も蓋もありませんが・・・元々そんなに好きじゃないんです。子供っていうものが。
好きじゃないというか・・・どう接していいかわからないから苦手って言った方が正しいかもしれません。
私自身は、まだ若かったしそんなに急がなくてもいいと思ってたけど。。
とにかく顔を合わす度に、、
「早く孫の顔が見たい」
「〇〇が妊娠しやすい体を作るらしいわよ」
「最近体調が悪くてねぇ、早く孫の顔見とかないとどうなるかわからないわ~」
等々・・・言われてたので、そのプレッシャーですね。
まぁ、もし子供がめちゃくちゃ好きだったら、そもそも「不妊治療はもうしない」とか言わないと思うんですよ。
辛い不妊治療を続けることが出来るのは、それだけ”子供を持ちたい”という気持ちが強いからだと思うし。
もちろん、そこには金銭面のことや夫の協力は関係してくるけど。
そして、私だけがそう思ってるならまだしも、話をしている中でオット君もそんなに子供に対する執着はないということも分かりました。
子供がいることは当たり前なんかじゃない
たぶんね、自分が子持ちで「なんで子供作らないの?」って簡単に聞いてくる人っていうのは・・・
- セックスしたら子供ができるのが当たり前って思ってる
- 結婚したら子供がそこに登場するのが当たり前って思ってる
と、思うんですよ。でも、、
「あなたの子供が側で笑ってるのは、当たり前の事なんかじゃないんだからね」って言いたくなる。
あまりにもみんながポンポコ生み落としてるから、当たり前だと思ってしまってもおかしくはないんだけど。
でも、もう一度ちゃんと考えてみてほしいなって。。
大体の人が「出産」というものに感動して涙まで流して喜んだりしてる。
テレビとかでも「すごい感動」みたいな感じで映す。
出産は「すごいこと」「神様からの贈り物」などなど、「とんでもなく特別」な感じを醸し出してる。
なのに、
それを人に強要する時は、
ソコは無視するのか。。
「神様からの贈り物」?
「すごいこと」?
そんなすごいことなのに、みんな出来て当たり前みたいに「なんで作らないの?」って簡単に聞いてくるってどうなってるの?
新しい命が生まれてくるって奇跡だと思う。
そして、その生まれた命が消えることなく続いていくことは、もっともっと奇跡なんだと私は思ってる。
一人の人が、今のその状況で生きている理由なんてその人にしかわからないし、それを他人がどうこう言える権利なんてない。
子供の有無に関しては、親であっても口を挟むことじゃないと私は思ってる。
子供には子供の。
親には親の。
人には人の。
人生があると思うから。
少子化だなんだと言われている時代に!
一番最初に戻りますが、私が犬の散歩途中に出会ったおばさまとの会話。
初めて会った人で、最初は犬の話題を話していたおばさまなんですが、突然「嫁」のことを話し始めました・・・

うちの息子のところも犬飼ってるんだけど、肝心の子供がいないのよね~。
どうなってんのか知らないけど・・・。
嫁さんが犬のことを可愛い可愛いって世話してるけど、犬なんて可愛がっても老後の面倒見てくれるわけじゃなし、、
一体なに考えてるのか!
お宅は?結婚してらっしゃるの?お子さんは?
私は、きたなこの質問!と思いつつ、、

と私が言うと、おばさまは眉間にしわを寄せながら・・・

んもぅ、、あなたたちみたいな人がいるから日本はこんなに少子化って言われてるんじゃないのぉ。
若いんだから子供バンバン産まなきゃダメよ!
産みたくないから生まないなんて我儘なんだから~私なんて苦労して3人も育ててきたんだから!
と、言い放ったのです・・・
突っ込みどころ満載で呆れてしまいましたけどね。。
そんなこと思いながら子供を産んだ人が果たしてどれくらいいるのか・・・
もし、大半の人がそんなことを思って産んでいるのだとしたら・・・
なんかもう日本人は色々と終わってると思うんですが。。
それと聞き捨てならない言葉!
「犬は老後の面倒見てくれない」ってことは、この人は自分の老後の面倒見てもらうために3人も産み落としたってことだよね。
それで老後を見てもらえなかったら、、すっごく文句言うんだろうなぁ・・・。
「私はあんた達のために、こんなに苦労してきたのに!」とか言いながら・・・。
私はこのおばさまに対して「そうですねぇ~(*´ω`*)アハハハハ」と愛想笑いを残し、”もう二度と会いませんように”と願いつつその場を去りました。
そして、この方の会ったこともない息子のお嫁さんとやらに、心の片隅で「大変だろうけど頑張って!!」とエールを送ったのでした。
子供いないと老後寂しくない?という質問に思うこと
はい、これもよく言われる言葉!
でも、この言葉聞くといつも感心するんですよ。
「子供がいるから老後が安心」って、信じ切ってるのがすごいなぁって。
私の母がよく私に言ってる言葉があります。
「私は、自分の母親から『一人娘なんだからあなたが私たちの面倒を見るのが義務』とか、『あなたが結婚して出ていったら誰が私たちの面倒見るの!』って言われ続けてきた。
それが嫌で嫌で、私は絶対に家を出て遠くで暮らしてやるって思ってた。
だから私は、あなたに私の老後の心配とか、そんなことは考えて生きてほしくない。
そのことで母親とどれだけ喧嘩を繰り返してきたかわからないから。」
実際にうちの母は祖母と仲が良くなくて、ずっと離れて暮らしていました。
もちろん、私自信は母の面倒を見ないなんて思ってませんし、見る気満々というか見て当たり前だとは思ってます。
うちは母一人、子一人ですので。
親の老後の面倒を見る見ないっていうのは、子供側が思うことであって親が強要することではないと思うんですよね。
「産んでくれなんて頼んでねーし」って言葉に対して、「親に向かってなんてことを!!」なんてやり取りがあるけど、、
いや、まさに、その通りじゃない?その通りでしょ?って思っちゃう私はダメ人間でしょうか・・・。
なにも間違っちゃいないと思うんだけど。。
だって、「生みたいと思って生んだのは親の勝手」
産んだだけで老後の面倒見てもらえるなんて甘い話はないと思うよ。
大切なのは産んだことじゃなくて、「産んでくれてありがとう」と子供に思ってもらえる親なのかどうかって所じゃないのかしら?と私は思ってます。
今の時代、子供がずっと側にいてくれることなんて珍しいですよね。海外赴任なんてこともザラ。
息子は仕事で海外、娘は結婚して県外、お爺ちゃんは先に逝ってしまい、結局そのおうちで暮らしているのはお婆ちゃんと猫一匹。
体が弱ってきたら施設に入れられ、息子も娘も近くにいないから結局老後に側にいてくれるのは「他人の施設の方たち」
仕事してた頃には、そんな環境で暮らすお婆ちゃんお爺ちゃんに結構会いました。
個人的なまとめ
- 子供が欲しかったけど出来なった人
- 最初から生むつもりなんてない人
- 色々な理由で子供を作る事を迷っている人
本当に色々な状況があると思いますが、「現状子供がいない」ということに辛辣な言葉をぶつけてくる人たちが多いことも事実。
そういう人たちには笑顔で「子供はいませんが私たちは幸せなんで♪」と軽く流すのが一番だと私は思ってます。
そういう人たちの中にいることで劣等感や肩身の狭さを感じてるなら、今すぐそういった繋がりは解消してしまうのがベスト。
私なんかは元々一人の時間が好きなので、友達が欲しいとか出かける相手が欲しいと思わない性質なんですが、もし今の繋がりを解消してしまうことで寂しさを覚えるなら方法はいくらでもあります。
今はネットという便利なものが普及しているので、自分と似た状況の人と繋がることはそんなに難しいことじゃないしね!
例えば有名なジモティーでも「子なし専業主婦」で検索すればかなりの数の「友達募集」が出てきますし、アメーバのグルっぽも安心して利用できるコミュニティサービスですね。
無理してストレスの溜まる場所にいなくてもいい!
ストレスの原因となる相手になんて合わせてなくていい!
そんなことで体調崩してしまったら大変です。
最後に思うこと
小さな幸せをつなぎ合わせて、夫婦二人で笑って生きていければそれだけで幸せなんです♪
こんな幸せなことってないんですから!
私は乳がんになって、死を覚悟するところまでいって、今ある幸せが奇跡だと心から思ってます。
子供が出来ることは当たり前じゃなくて奇跡って書いたけど、子供だけじゃなくて、今自分の隣にいてくれる人が笑いかけてくれてるってことがすごい奇跡だと思うから。
子供がいる家庭の幸せと、子供がいない家庭の幸せの形はそれぞれ違うけど、どちらも尊ぶべきものであって決して批判するべきことではないと思うのです。
長々と鬱憤を吐き出してしまいました。。。
読んでくださった方、ありがとうございますm(._.*)m